第92回 「有能人材の流出の懸念」
Author : セルナジャヤ 森
Posted: 2013-03-25 00:00:00 | Category: 時事速報インドネシア
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「会社」が“人”で成り立っている以上、どの企業に とっても有能な人材の獲得は必須です。一般的に日本では、会社には「優秀」「凡人」「怠け者」の3タイプがいるとされ、その比率は「2:6:2」とも言わ れています。これがインドネシアも同じ比率であるかは分かりませんが、いかに有能な人材を獲得し、流出を防ぐかが、会社運営の大事なカギとなることは間違 いありません。今回は、日系企業が陥りやすいとされる有能人材の流出の懸念について、解説します。
◇日系企業の典型的な特徴・その一
日系企業の一般的な特徴として、能力や成績に比例した賃金の格差を設けるという欧米系の賃金システムを嫌う傾向があります。日系企業の採用担当者から人材 採用のご依頼を頂戴する際、「有能な人材が欲しい。ただし、周りの従業員の目もあるため、バランスを重視して、待遇は横並びとしたい」と言われることがあ ります。
◇日系企業の典型的な特徴・その二
続いてよく頂くリクエストとして、「積極性や向上心が高いのは大いに結構だが、ワンマンで行動されたり、転職される危険性もあるため、真面目な人材が欲しい」というものがあります。
これら二つのコメントをまとめると、求める人材はごくごく普通の「凡人でよい」となります。「真面目でコツコツ仕事をし、会社の売り上げに大いに貢献す る」といった人材を相場通りの給与で雇用することができれば成功ですが、売り手市場の今、数少ない有能な人材は“ここぞ”と自身を高く売りに出てきます。 そのため、上記二つのポイントを重視するあまり、雇用する人材が凡人ばかりになる可能性があるとも言えます。
◇有能な人材の転職パターン
有能とされる人材の多くは「他の凡人である従業員と横並びの待遇を受ける」ことや、「チームとしての能力を重視するあまり、個人の能力が抜きんでることを 嫌う日系企業の社風」に大きな不満を持ちます。その中で、上司との関係が崩れたりなどのさらなる追い打ちが掛かると“転職”を考えることになるようです。
◇現地採用の日本人にも同様の傾向
日系企業は、少数の日本人と多数のインドネシア人従業員で構成されます。そのため、駐在員を含め、日本人の個々の能力が良くも悪くも大きな影響を及ぼしてしまいます。
全ての日本人が「優秀」であるとは限りません。中には就業後、「仕事ができないタイプ」だとして早期に契約終了となるケースもありますが、会社に認められ長年勤めてきた現地採用の日本人ほど、勤め先の在り方に不満を抱え、転職の機会をうかがっていると言えます。
ジャカルタ近辺で働く日本人現地採用者からよく転職の相談を受けますが、やはり焦点は駐在員との給与格差や、インドネシア人従業員の給与水準と比較して給与が抑えられている、という点です。
会社に大きく貢献する有能な人材を長期にわたって雇用し続けることは企業にとって永遠の課題であります。これまでそうした人材と多く接してきた筆者が思う に、有能である者ほど、「会社から認められたい」「特別な待遇を受けたい」というのが本音なのではないかと思うのです。
今、まさに離してはならない、そういったインドネシア人や日本人の社員を抱えているならば、機会を設け、話を聞いてみることも大事なのかも知れません。
(時事速報インドネシア便掲載)
Author : セルナジャヤ 森
Posted: 2013-03-25 00:00:00 | Category: 時事速報インドネシア
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第92回 「有能人材の流出の懸念」
第92回 「有能人材の流出の懸念」「会社」が“人”で成り立っている以上、どの企業に とっても有能な人材の獲得は必須です。一般的に日本では、会社には「優秀」「凡人」「怠け者」の3タイプがいるとされ、その比率は「2:6:2」とも言わ れています。これがインドネシアも同じ比率であるかは分かりませんが、いかに有能な人材を獲得し、流出を防ぐかが、会社運営の大事なカギとなることは間違 いありません。今回は、日系企業が陥りやすいとされる有能人材の流出の懸念について、解説します。
◇日系企業の典型的な特徴・その一
日系企業の一般的な特徴として、能力や成績に比例した賃金の格差を設けるという欧米系の賃金システムを嫌う傾向があります。日系企業の採用担当者から人材 採用のご依頼を頂戴する際、「有能な人材が欲しい。ただし、周りの従業員の目もあるため、バランスを重視して、待遇は横並びとしたい」と言われることがあ ります。
◇日系企業の典型的な特徴・その二
続いてよく頂くリクエストとして、「積極性や向上心が高いのは大いに結構だが、ワンマンで行動されたり、転職される危険性もあるため、真面目な人材が欲しい」というものがあります。
これら二つのコメントをまとめると、求める人材はごくごく普通の「凡人でよい」となります。「真面目でコツコツ仕事をし、会社の売り上げに大いに貢献す る」といった人材を相場通りの給与で雇用することができれば成功ですが、売り手市場の今、数少ない有能な人材は“ここぞ”と自身を高く売りに出てきます。 そのため、上記二つのポイントを重視するあまり、雇用する人材が凡人ばかりになる可能性があるとも言えます。
◇有能な人材の転職パターン
有能とされる人材の多くは「他の凡人である従業員と横並びの待遇を受ける」ことや、「チームとしての能力を重視するあまり、個人の能力が抜きんでることを 嫌う日系企業の社風」に大きな不満を持ちます。その中で、上司との関係が崩れたりなどのさらなる追い打ちが掛かると“転職”を考えることになるようです。
◇現地採用の日本人にも同様の傾向
日系企業は、少数の日本人と多数のインドネシア人従業員で構成されます。そのため、駐在員を含め、日本人の個々の能力が良くも悪くも大きな影響を及ぼしてしまいます。
全ての日本人が「優秀」であるとは限りません。中には就業後、「仕事ができないタイプ」だとして早期に契約終了となるケースもありますが、会社に認められ長年勤めてきた現地採用の日本人ほど、勤め先の在り方に不満を抱え、転職の機会をうかがっていると言えます。
ジャカルタ近辺で働く日本人現地採用者からよく転職の相談を受けますが、やはり焦点は駐在員との給与格差や、インドネシア人従業員の給与水準と比較して給与が抑えられている、という点です。
会社に大きく貢献する有能な人材を長期にわたって雇用し続けることは企業にとって永遠の課題であります。これまでそうした人材と多く接してきた筆者が思う に、有能である者ほど、「会社から認められたい」「特別な待遇を受けたい」というのが本音なのではないかと思うのです。
今、まさに離してはならない、そういったインドネシア人や日本人の社員を抱えているならば、機会を設け、話を聞いてみることも大事なのかも知れません。
(時事速報インドネシア便掲載)