第105回 「優秀な従業員をとどめるためには」
Author : セルナジャヤ 蛇草
Posted: 2014-04-11 00:00:00 | Category: 時事速報インドネシア
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今年も早くも4月を迎えました。日本のような桜満開の 春らしさこそありませんが、最近は少し雨の頻度が減ってきたかなと乾期の訪れを感じています。この時期はインドネシアで多くの会社が人事評価を実施する時 期です。従業員にとっては昇給・昇格を受ける楽しみな時期でもあります。日ごろの努力が認められた従業員は満足のいく昇給を受け、再びモチベーションを高 めて会社のために働いてくれますが、一方で期待ほどの昇給が得られずに転職の決意を強く抱く従業員が毎年出ることも事実です。そのため、4月は宗教大祭手 当や賞与の支給後と同様、転職の多くなる時期といわれています。
優秀な人材が会社から離れてしまう影響は大きいため、会社はしっかりと優秀な人 材を会社にとどめるよう対策を講じなければなりません。この会社に必要な人材を会社にとどめるための施策のことを「リテンション」といいます。昇給や昇格 は社内の給与体系もあるため、従業員に与えられるものには限りがありますが、従業員の転職の動機は給与だけが原因ではありません。しっかりと従業員の不安 や不満をくみ取り、的確なリテンションを行うことが求められます。
では、従業員が転職を決意するのにはどのような理由があるのでしょう か。もちろん給与は大きな要素として挙げられます。そのため人事評価の際には各従業員の能力と成果をしっかりと評価することが公平な昇給・昇格につながり ます。これまで日系企業では勤続期間を会社へのロイヤルティーとし、評価の基準にするところもありました。
しかし、本来はすべての従業員に対し て会社へのロイヤルティーが求められるため、インドネシアではあまり一般的ではないようです。勤続期間を評価対象にしてしまうと古参の従業員を優遇するこ とになり、モチベーションの下がった従業員ばかりが会社に残ってしまいかねません。優秀な新しい従業員との兼ね合いに苦労するという話もよく耳にします。 給与を設定する際には他社での給与水準もしっかりと確認しておきましょう。
ただし、先にもお話ししたように給与がすべてではありませ ん。従業員の抱えている不満は「社内での人間関係に問題がある」「通勤に疲れた」「残業が多い」など千差万別です。このような問題は普段から従業員とのコ ミュニケーションが十分に取れていないと気づきません。不満を抱えたまま退職されてしまうのを避けるためにも、会社の代表者や人事担当者と従業員の関係を 普段から良好に保ち、定期的に不安や不満をしっかりと把握する場を設けることが非常に大切です。
昇給や昇格の際にも一方的な通知にとどめず、従 業員と双方向の話し合いを心掛けましょう。従業員が退職してしまう際には退職時面接を設けて、どのような理由で退職するのか聞き取りを行うことも有効です。
(時事速報インドネシア便掲載)
Author : セルナジャヤ 蛇草
Posted: 2014-04-11 00:00:00 | Category: 時事速報インドネシア
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第105回 「優秀な従業員をとどめるためには」
【インドネシア雇用事情】第105回 「優秀な従業員をとどめるためには」今年も早くも4月を迎えました。日本のような桜満開の 春らしさこそありませんが、最近は少し雨の頻度が減ってきたかなと乾期の訪れを感じています。この時期はインドネシアで多くの会社が人事評価を実施する時 期です。従業員にとっては昇給・昇格を受ける楽しみな時期でもあります。日ごろの努力が認められた従業員は満足のいく昇給を受け、再びモチベーションを高 めて会社のために働いてくれますが、一方で期待ほどの昇給が得られずに転職の決意を強く抱く従業員が毎年出ることも事実です。そのため、4月は宗教大祭手 当や賞与の支給後と同様、転職の多くなる時期といわれています。
優秀な人材が会社から離れてしまう影響は大きいため、会社はしっかりと優秀な人 材を会社にとどめるよう対策を講じなければなりません。この会社に必要な人材を会社にとどめるための施策のことを「リテンション」といいます。昇給や昇格 は社内の給与体系もあるため、従業員に与えられるものには限りがありますが、従業員の転職の動機は給与だけが原因ではありません。しっかりと従業員の不安 や不満をくみ取り、的確なリテンションを行うことが求められます。
では、従業員が転職を決意するのにはどのような理由があるのでしょう か。もちろん給与は大きな要素として挙げられます。そのため人事評価の際には各従業員の能力と成果をしっかりと評価することが公平な昇給・昇格につながり ます。これまで日系企業では勤続期間を会社へのロイヤルティーとし、評価の基準にするところもありました。
しかし、本来はすべての従業員に対し て会社へのロイヤルティーが求められるため、インドネシアではあまり一般的ではないようです。勤続期間を評価対象にしてしまうと古参の従業員を優遇するこ とになり、モチベーションの下がった従業員ばかりが会社に残ってしまいかねません。優秀な新しい従業員との兼ね合いに苦労するという話もよく耳にします。 給与を設定する際には他社での給与水準もしっかりと確認しておきましょう。
ただし、先にもお話ししたように給与がすべてではありませ ん。従業員の抱えている不満は「社内での人間関係に問題がある」「通勤に疲れた」「残業が多い」など千差万別です。このような問題は普段から従業員とのコ ミュニケーションが十分に取れていないと気づきません。不満を抱えたまま退職されてしまうのを避けるためにも、会社の代表者や人事担当者と従業員の関係を 普段から良好に保ち、定期的に不安や不満をしっかりと把握する場を設けることが非常に大切です。
昇給や昇格の際にも一方的な通知にとどめず、従 業員と双方向の話し合いを心掛けましょう。従業員が退職してしまう際には退職時面接を設けて、どのような理由で退職するのか聞き取りを行うことも有効です。
(時事速報インドネシア便掲載)