第88回 「動き始める日本人現地採用1」
Author : セルナジャヤ 森
Posted: 2012-12-01 00:00:00 | Category: 時事速報インドネシア
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日本人現地採用の需要は隣国のシンガポールやタイに比べ低いとされていたインドネシアでも、徐々に変化が生まれてきています。今回は背景と併せて現在の状況を、そして次回ではその変化について、2回にわたってご説明します。
◇進出企業の増加、事業拡大による変化
昨今の日系企業による会社設立ラッシュにより、取引先が増えると見込んだ商社、金融、サービス業、物流業などでは「セールス要員」の増員が必須となりまし た。そんな中、本社からの出向者を求めるものの「海外支店を増やした結果、本社での人員が不足している」「海外慣れした社員が少ない」「海外経験者はシニ ア世代ばかり」などの理由で、若くして海外へ飛び出した日本人の現地での獲得へと踏み切る傾向が広がっています。
また、既に進出をしている製造業では、生産量の拡大に合わせた技術要員の駐在員数増加により、それら駐在員の語学面や身の回りのサポートが求められることとなり、「インドネシア語の読み書きができる日本人秘書」を雇用したいとする企業も増加の一途をたどっています。
◇インドネシア語のできる日本人が不足
しかしながら、最も需要の高い「インドネシア語のできる日本人候補者」の数が需要に追い付いていない現状があります。もともと新興国という位置付けもあ り、インドネシア語は日本でも学習人口が少なく、“マイナーな言語”と言えます。幸い、インドネシア語はアルファベットを用いた比較的簡単な言語であるた め、滞在を通じて堪能になる日本人が増え続けていることは確かです。しかし、読み書きまでを習得した日本人は依然として少なく、需要を満たしていないのは 事実と言えるでしょう。
◇好景気の最中、国内での転職希望者が少ない
2008年のリーマン・ショックを迎えるまでは、コンスタントにインドネシア国内で勤務する日本人の転職希望者はあったものの、一転、好景気に突入してからは、それら国内での転職希望者が激減しました。主な理由としては以下が挙げられます。
・好景気により、仕事にやりがいを持つことができた
・右肩上がりに成長する現在の勤め先を辞める理由がなくなった
・思った以上の昇給に恵まれた
・前年の売り上げに連動したボーナスが予想以上に支給された
その他、理由はさまざまですが、不況によりインドネシアへの転職希望者が増え続ける日本からの登録者と異なり、インドネシア国内で働いている日本人にとっ て、しっかりとした成果が残せ、それに比例して待遇条件が改善されている点が転職につながらない大きな理由となってきています。
日系企業の進出、取引先の拡大、そして急激に海外展開を行ったことによる本社での海外要員の不足-。日本人現地採用の市場に今、どういった変化が起きているのでしょうか。次回はその“変化”についてご説明します。
(時事速報インドネシア便掲載)
Author : セルナジャヤ 森
Posted: 2012-12-01 00:00:00 | Category: 時事速報インドネシア
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第88回 「動き始める日本人現地採用1」
第88回 「動き始める日本人現地採用 その1」日本人現地採用の需要は隣国のシンガポールやタイに比べ低いとされていたインドネシアでも、徐々に変化が生まれてきています。今回は背景と併せて現在の状況を、そして次回ではその変化について、2回にわたってご説明します。
◇進出企業の増加、事業拡大による変化
昨今の日系企業による会社設立ラッシュにより、取引先が増えると見込んだ商社、金融、サービス業、物流業などでは「セールス要員」の増員が必須となりまし た。そんな中、本社からの出向者を求めるものの「海外支店を増やした結果、本社での人員が不足している」「海外慣れした社員が少ない」「海外経験者はシニ ア世代ばかり」などの理由で、若くして海外へ飛び出した日本人の現地での獲得へと踏み切る傾向が広がっています。
また、既に進出をしている製造業では、生産量の拡大に合わせた技術要員の駐在員数増加により、それら駐在員の語学面や身の回りのサポートが求められることとなり、「インドネシア語の読み書きができる日本人秘書」を雇用したいとする企業も増加の一途をたどっています。
◇インドネシア語のできる日本人が不足
しかしながら、最も需要の高い「インドネシア語のできる日本人候補者」の数が需要に追い付いていない現状があります。もともと新興国という位置付けもあ り、インドネシア語は日本でも学習人口が少なく、“マイナーな言語”と言えます。幸い、インドネシア語はアルファベットを用いた比較的簡単な言語であるた め、滞在を通じて堪能になる日本人が増え続けていることは確かです。しかし、読み書きまでを習得した日本人は依然として少なく、需要を満たしていないのは 事実と言えるでしょう。
◇好景気の最中、国内での転職希望者が少ない
2008年のリーマン・ショックを迎えるまでは、コンスタントにインドネシア国内で勤務する日本人の転職希望者はあったものの、一転、好景気に突入してからは、それら国内での転職希望者が激減しました。主な理由としては以下が挙げられます。
・好景気により、仕事にやりがいを持つことができた
・右肩上がりに成長する現在の勤め先を辞める理由がなくなった
・思った以上の昇給に恵まれた
・前年の売り上げに連動したボーナスが予想以上に支給された
その他、理由はさまざまですが、不況によりインドネシアへの転職希望者が増え続ける日本からの登録者と異なり、インドネシア国内で働いている日本人にとっ て、しっかりとした成果が残せ、それに比例して待遇条件が改善されている点が転職につながらない大きな理由となってきています。
日系企業の進出、取引先の拡大、そして急激に海外展開を行ったことによる本社での海外要員の不足-。日本人現地採用の市場に今、どういった変化が起きているのでしょうか。次回はその“変化”についてご説明します。
(時事速報インドネシア便掲載)