第19回 断食明け大祭にちなんで
Author : セルナジャヤ 高橋
Posted: 2006-10-13 00:00:00 | Category:
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今年もプアサ(断食明け大祭=レバラン=の前に1カ月間行う断食)が始まり、既に
約3週間が過ぎようとしています。イスラム教徒が大半を占めるインドネシ アでは、
レバランは最も重要なイベントで、従業員たちの間でも、「いつから帰省する?」とか「THR(大祭手当)はいつ支給されるのか?」など、レバラン にちなんだ会話がよく聞かれます。
◇大祭手当7日以前に、断食理由に注意せず
今年のレバランは10月24、25日に 当たる予定で、政府は前後を国民一斉休暇(有給休暇扱い)とし、その1週間を連休としています。今年は前の週の21日(土)から
29日(日)まで9連休と する企業も多いようで、レバランは企業にとっても、イスラム教徒以外の方、特にこの国では外国人であるわたしたちにとっても、THR支給やプアサに気を配 る一大イベントといえるでしょう。
先日、「エルマン労働・移住相が各企業に対し、24日の断食明け大祭の7日前までにTHRを支給する よう呼び掛けた」と言う記事を読みました。もともとTHRとは、「3カ月以上勤続し、会社と雇用関係のあるすべての労働者に大祭7日前までに支給する」と 労働相決定1994年第4号により義務付けされています。金額については、1年以上勤続している労働者に対しては少なくとも固定賃金の1カ月分、1年未満 には勤続期間に比例して支給することになっており、大祭日前の30日以内に退職した従業員(ただし、契約社員は除く)も支給対象となっています。宗教大祭 はクリスマスなど各宗教によって異なりますが、レバランにほかの宗教の従業員にも同時に支給している企業がほとんどのようです。
日本人 現地採用についても、「THRを支給しなければいけないのか?」と問い合わせを受けるのですが、日本人現地採用の場合は企業によってさまざまで、「現地採 用なのでローカルスタッフ同様に支給」や「THRとしてではなくボーナスとして支給」と言う企業が多いようです。中には「年俸制なので支給なし」と言うと ころもありますので、採用時の雇用契約書に明記することをお勧めします。
この時期、従業員にとってTHR同様に重要なのがプアサ(断 食)です。プアサとは、
レバラン前の1カ月間(ラマダン月=イスラム暦第9月)に行う断食のことで、日の出から日没まで一切飲食ができません。プアサは、 自己修練、精神修業、貧しく空腹な人の気持ちを知るなどの意味もあり、自分の意志で行う修行なので、本来ならばプアサを行っている者に対して特段神経を使 うことは不要との見方もあります。ただ現実には、就業開始時間を早めたり、イスラム教徒には昼食時間を短縮して、その分就業時間を繰り上げるなどの配慮を している企業も多くみられます。
プアサ中は「従業員の集中力や気力が欠ける」とよく耳にしますが、ある程度避けられないことだと思いま す。▽「仕事の効率が低下した」などプアサを理由にした注意や苦情を言わない▽ブカ・プアサ(断食明け)の時刻には水が飲めるよう配慮する▽個人でもイス ラム教徒の前ではたばこを吸わない、飲食を控える-などの気配りも必要だと思います。宗教心の強いインドネシアでは、宗教や信者に配慮した気持ちが従業員 とのコミュニケーションでもキーポイントと言えるのではないでしょうか。
Author : セルナジャヤ 高橋
Posted: 2006-10-13 00:00:00 | Category:
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第19回 断食明け大祭にちなんで
今年もプアサ(断食明け大祭=レバラン=の前に1カ月間行う断食)が始まり、既に
約3週間が過ぎようとしています。イスラム教徒が大半を占めるインドネシ アでは、
レバランは最も重要なイベントで、従業員たちの間でも、「いつから帰省する?」とか「THR(大祭手当)はいつ支給されるのか?」など、レバラン にちなんだ会話がよく聞かれます。
◇大祭手当7日以前に、断食理由に注意せず
今年のレバランは10月24、25日に 当たる予定で、政府は前後を国民一斉休暇(有給休暇扱い)とし、その1週間を連休としています。今年は前の週の21日(土)から
29日(日)まで9連休と する企業も多いようで、レバランは企業にとっても、イスラム教徒以外の方、特にこの国では外国人であるわたしたちにとっても、THR支給やプアサに気を配 る一大イベントといえるでしょう。
先日、「エルマン労働・移住相が各企業に対し、24日の断食明け大祭の7日前までにTHRを支給する よう呼び掛けた」と言う記事を読みました。もともとTHRとは、「3カ月以上勤続し、会社と雇用関係のあるすべての労働者に大祭7日前までに支給する」と 労働相決定1994年第4号により義務付けされています。金額については、1年以上勤続している労働者に対しては少なくとも固定賃金の1カ月分、1年未満 には勤続期間に比例して支給することになっており、大祭日前の30日以内に退職した従業員(ただし、契約社員は除く)も支給対象となっています。宗教大祭 はクリスマスなど各宗教によって異なりますが、レバランにほかの宗教の従業員にも同時に支給している企業がほとんどのようです。
日本人 現地採用についても、「THRを支給しなければいけないのか?」と問い合わせを受けるのですが、日本人現地採用の場合は企業によってさまざまで、「現地採 用なのでローカルスタッフ同様に支給」や「THRとしてではなくボーナスとして支給」と言う企業が多いようです。中には「年俸制なので支給なし」と言うと ころもありますので、採用時の雇用契約書に明記することをお勧めします。
この時期、従業員にとってTHR同様に重要なのがプアサ(断 食)です。プアサとは、
レバラン前の1カ月間(ラマダン月=イスラム暦第9月)に行う断食のことで、日の出から日没まで一切飲食ができません。プアサは、 自己修練、精神修業、貧しく空腹な人の気持ちを知るなどの意味もあり、自分の意志で行う修行なので、本来ならばプアサを行っている者に対して特段神経を使 うことは不要との見方もあります。ただ現実には、就業開始時間を早めたり、イスラム教徒には昼食時間を短縮して、その分就業時間を繰り上げるなどの配慮を している企業も多くみられます。
プアサ中は「従業員の集中力や気力が欠ける」とよく耳にしますが、ある程度避けられないことだと思いま す。▽「仕事の効率が低下した」などプアサを理由にした注意や苦情を言わない▽ブカ・プアサ(断食明け)の時刻には水が飲めるよう配慮する▽個人でもイス ラム教徒の前ではたばこを吸わない、飲食を控える-などの気配りも必要だと思います。宗教心の強いインドネシアでは、宗教や信者に配慮した気持ちが従業員 とのコミュニケーションでもキーポイントと言えるのではないでしょうか。
時事速報インドネシア便連載