第95回 「ラマダンに求められる配慮」
Author : セルナジャヤ 蛇草
Posted: 2013-06-14 00:00:00 | Category: 時事速報インドネシア
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今年も気づけば6月中旬にさしかかり、早くも上半期を 終えようとしています。ラマダン(断食月)の季節が近づき、わたしのオフィスでは断食をしている者の姿も目立つようになりました。旅行、病気、妊娠、生理 などの理由で断食を1カ月すべてできなかった人は、後日に残りの日数分をやり直すことになっていますが、今年のラマダンまでになんとか終わらせようと必死 です。
レバラン(イスラム断食明け大祭)を迎えるまでの1カ月をラマダンといい、イスラム教の人にとって神聖な月に当たります。普段そ れほど敬虔(けいけん)でない人もこの期間は、日の出前から日没までのあいだ飲食、喫煙、娯楽などの一切を自粛し、真面目にイスラム教徒の義務を果たそう とします。信仰心が強まるため、女性だとクルドゥンとよばれるスカーフをまとい、髪を隠し始める人が増えるようです。
国民の多くがイス ラム教徒であるインドネシアでは、昼間は飲食店の多くが休業し、夜間はカラオケやディスコの営業時間が短縮されるなどの影響があります。企業でも従業員に 配慮し、日没の断食明け(ジャカルタ時間で午後6時ごろ)には帰宅できるよう始業時間を早めたり、昼食時間を短縮したり、昼食を実物支給している企業では 食費補助に切り替えられるなどの措置が取られます。
実はわたしも1カ月間、従業員と一緒に断食を行ったことがありました。食事をしない と集中力が落ちるだけでなく、体温が下がるためオフィスの冷房が普段より寒く感じ、日数を重ねるうちに体調も崩しがちになります。生産活動に支障が出るこ とを懸念される方も多いと思いますが、ある程度は仕方がないとラマダン期間中は寛容に対処することが重要になります。
従業員はレバラン を迎える時点で3カ月以上働いていないとTHR(大祭手当)の受給権利が得られないことから、レバラン前の期間は転職が落ち着く時期でもあります。そのた め、この時期は人材の採用が困難になりますが、THRの受給後は逆に転職者が増える傾向があるため、今度は従業員の離職に備える必要があります。
ラマダンやレバランは日本人にはなじみが薄いのですが、年間を通じて最も従業員への配慮が大切で管理の難しい時期になります。ラマダンへの配慮を欠くと、 レバランの後に苦労するかもしれません。ラマダンの初日は宗教省による新月の確認により決められますが、今年は7月9日と予想されています。
(「時事速報インドネシア便」掲載)
Author : セルナジャヤ 蛇草
Posted: 2013-06-14 00:00:00 | Category: 時事速報インドネシア
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第95回 「ラマダンに求められる配慮」
【インドネシア雇用事情】第95回 「ラマダンに求められる配慮」今年も気づけば6月中旬にさしかかり、早くも上半期を 終えようとしています。ラマダン(断食月)の季節が近づき、わたしのオフィスでは断食をしている者の姿も目立つようになりました。旅行、病気、妊娠、生理 などの理由で断食を1カ月すべてできなかった人は、後日に残りの日数分をやり直すことになっていますが、今年のラマダンまでになんとか終わらせようと必死 です。
レバラン(イスラム断食明け大祭)を迎えるまでの1カ月をラマダンといい、イスラム教の人にとって神聖な月に当たります。普段そ れほど敬虔(けいけん)でない人もこの期間は、日の出前から日没までのあいだ飲食、喫煙、娯楽などの一切を自粛し、真面目にイスラム教徒の義務を果たそう とします。信仰心が強まるため、女性だとクルドゥンとよばれるスカーフをまとい、髪を隠し始める人が増えるようです。
国民の多くがイス ラム教徒であるインドネシアでは、昼間は飲食店の多くが休業し、夜間はカラオケやディスコの営業時間が短縮されるなどの影響があります。企業でも従業員に 配慮し、日没の断食明け(ジャカルタ時間で午後6時ごろ)には帰宅できるよう始業時間を早めたり、昼食時間を短縮したり、昼食を実物支給している企業では 食費補助に切り替えられるなどの措置が取られます。
実はわたしも1カ月間、従業員と一緒に断食を行ったことがありました。食事をしない と集中力が落ちるだけでなく、体温が下がるためオフィスの冷房が普段より寒く感じ、日数を重ねるうちに体調も崩しがちになります。生産活動に支障が出るこ とを懸念される方も多いと思いますが、ある程度は仕方がないとラマダン期間中は寛容に対処することが重要になります。
従業員はレバラン を迎える時点で3カ月以上働いていないとTHR(大祭手当)の受給権利が得られないことから、レバラン前の期間は転職が落ち着く時期でもあります。そのた め、この時期は人材の採用が困難になりますが、THRの受給後は逆に転職者が増える傾向があるため、今度は従業員の離職に備える必要があります。
ラマダンやレバランは日本人にはなじみが薄いのですが、年間を通じて最も従業員への配慮が大切で管理の難しい時期になります。ラマダンへの配慮を欠くと、 レバランの後に苦労するかもしれません。ラマダンの初日は宗教省による新月の確認により決められますが、今年は7月9日と予想されています。
(「時事速報インドネシア便」掲載)